農薬講習(2)− なぜ農薬を使用するのか

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市民農園で栽培されている方も、作物への被害を最小限にしようと、農薬を使用する場合も時にはあるかと思います。
しかし、少量だからといって、農薬について"知らない"では済まされないことがあると、今回の講習で学びました。
昨年の例となりますが、生産物の残留農薬検査で不合格となったものを調べた結果、市民農園利用者が使用した農薬が飛散により影響していたのです。原因が分かるまで、農家は生産物が出荷できない状態になったのです。

<農薬の歴史>
日本で初めて害虫防剤が使用されるようになったのは、江戸時代。
田んぼに鯨油など油を撒き、水面に油膜を作ります。そこに虫が落ちると油に搦まれて飛び上がることが出来なくなるという方法でした。
明治時代には、除虫菊粉やニコチンが使用されるようになります。
日本初の農薬合成工場が操業したのは、1921年、現在の三共(株)が、土壌を消毒剤のクロルピクリンを製造します。


ポジティブリスト制度
基準が設定されていない農薬等が、一定量以上含まれる食品の流通を原則禁止する制度(2006年5月29日施行)。
国内外での基準がない農薬については、「一律基準」として、0.01ppmが適用されます。
この制度の施行前は、残留基準が設定されていない農薬が検出されても規制対象外でした。

0.01ppmがどのくらいの量かというと、25メートルプールに1滴垂らした濃度なので、冒頭に書いた市民農園での農薬使用に細心の注意が必要であることがお分かりいただけるでしょう。


<なぜ、農薬を使うのか>
一番大きい理由は、収穫量を確保するため。
多少古いデータですが、農薬を使用しなかった場合の収穫量を見てみると、桃に至っては収穫できません。

(3) 病害虫や雑草による被害はどの位か
病害虫の有効な防除方法がなかった時代には、例えば我が国では、享保年間に稲にウンカによる大被害の発生によって多くの人が餓死したと記録があります。また、外国では1845年にアイルランドで人々の主食であるジャガイモの疫病が大発生し、悲惨な飢饉が生じました。

過去に行われた調査結果では、一般的な栽培を行っていて病害虫防除対策を行わなかった場合、農作物の収穫量が大幅に減少することを示しています(表1、2参照)

表1 日本の例
作物名 推定収穫減少率(平均)%
水稲(10) 28
小麦(4) 36
大豆(8) 30
りんご(6) 97
もも(1) 100
キャベツ(10) 63
だいこん(5) 24
きゅうり(5) 61
トマト(6) 39
ばれいしょ(2) 31
なす(1) 21
とうもろこし(1) 28
・作物名右( )は試験例数(1991-1992年に実施)
・社団法人日本植物防疫協会「農薬を使用しないで栽培した場合の病害虫等の被害に関する調査」(1993年)

出典:農林水産消費安全技術センター / 農薬とは
ただし、上の図の数値は市場に売りに出せるかが基準となっているので、食べられることを基準とすると変わってきます。
農家の方が自己消費する作物については、市場に出すものとは分けて栽培・消費するようです。私たち消費者が「安全」を求めるならば、市場価値としての「見た目のよさ」「形のよさ」を重視する必要はないように思います。


地 球環境問題をはじめと資源・エネルギー問題、人口問題、食料問題など、人類が直面している問題は、現会いの我々の生き方、つまりは文明の問題ともいえる。 人類は、地球の重力圏を突破し、地球を宇宙150億年の時空スケールで考えることができるようになった。一方で、地球のなかでは我々の存在基盤を危うくす るような問題を引き起こしている。どうしてそんなことになるのか。理解の手がかりは、松井さんの考え出した人間圏という概念にある。

THE BIG ISSUE JAPAN37号
引用:『ビッグイシュー日本版』37号(p.16)
参考:宇宙人としての生き方--アストロバイオロジーへの招待-- (岩波新書)



「このままの勢いで人口が増加していくと、計算上、3000年で人類の重さが地球の重さと同じになってしまいます」と、惑星科学者の松井さん。このまま20世紀の発想の「生き方ができるのも100年くらい」とも。
本当に大切なモノは、金やダイヤモンドではなく、生きるのに必要な水や空気の時代になりそうです。

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